コロナ禍でどうなった?イベント制作会社の現状
新型コロナウイルスの蔓延により東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期を始め、各種商業施設での展示会などのイベントや、スポーツ関係のイベントなどの多くが延期や中止をしました。
それらを制作する側のイベント制作会社にとって大きな痛手を受ける事態だと思われます。
今回はイベント制作会社に対するコロナの影響を見ていきましょう。
1:ここまでの状況
今回は代表して大手3社の昨年までの状況を見てみましょう。
1-1:乃村工藝社
専門店、百貨店などでのディスプレイや展示会などを得意としている当社は企画から設置、販売促進など一貫して請け負う国内のイベント制作会社最大手の一つです。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会オフィシャルサポーターにもなっていますね。
ここ10年ほど売上、利益ともに右肩上がりの実績です。
1-2:株式会社丹青社
1959年に設立された東京都港区のイベント・ディスプレイデザイン会社です。商業施設やイベント施設の設計・施工を中心とした事業を行なっています。
直前の2020年1月期ディスプレイ業界などでは公共施設や商業施設のイベントが好調で、好調だった2019年1月期とほぼ同等の売上、利益を確保しています。
リーマンショック以降は売上利益ともに右肩上がりの成長をしていました。
1-3:スペース
1948年の設立した東京都中央区に本社を構えるイベント・ディスプレイ制作会社です。
設立以来、飲食店や宿泊施設の内装設計・施工、イベント制作といった商業空間のプロデュース事業を展開しています。
商業施設への大規模な展示会のブース制作を得意としているイベント制作会社です。
直近の2019年12月期では、得意としているアパレルなどの店舗の改装や商業施設の出店などに伴うイベントやディスプレイが好調で業績は堅調に推移していました。
2:現在の状況
それではそれぞれの現在の状況はどうでしょうか。
2-1:乃村工藝社
2021年2月期は、約半分を消化していますが、通期の業績予想予想では、主に商業施設関連のイベントが中止になった影響から売り上げは前年実績比ダウン。
利益については売上の減少分と合わせてリモートワーク関係のシステム導入などを行ったため、利益を逼迫し前年の約半分の業績予想をしています。
2-2:丹青社
2021年1月期は、新型コロナウイルスの影響により受注高の減少がありました。
しかし、都市開発などの事業を手掛けているのでそれらの影響は遅れてやってくる傾向にあります。
そのため現時点では大きな影響は財務上もないものの、チェーンストアの出店計画の修正や官公庁関連の事業の縮小や延期の影響は今後遅れてやってくる可能性は高いと思われます。
2-3:スペース
今期2020年12月期は新型コロナウイルスによる経済的ダメージから、アパレルチェーンストアの出店減少や、教育関連施設などのサービス等分野の受注が減少しているようです。
また経済活動は徐々に再開していますが、企業の経費削減や投資計画の見直しが行われ、先行きはとても難しいものになっています。
売上高の減少はもちろんのこと、利益に関しても0円を見込むなど厳しい業績予想をしています。
3:これからのイベント制作会社の流れ
現状は新型コロナウイルスの影響をかなり受けているイベント制作会社ですが、今後の大きな業界の流れを予測してみたいと思います。
3-1:需要は徐々に回復する
官公庁や商業施設、店舗などの出店の影響を大きく受けるのがイベント制作会社です。
各業界がコロナの影響を受けているのでしばらくは投資意欲も控えめになるでしょう。
ところが、いずれは各社攻めの出店の方向に舵を切ることかと思います。
少しずつですが需要は増えていくことでしょう。
3-2:中小制作会社の統廃合、あるいは大手企業同士の合併
そんな中、需要の回復までの体力が持つかどうかが鍵になってきます。
資本力や大手のクライアントを抱えている大企業は比較的大丈夫だとしても、問題は中小制作会社ですね。
手元資金の少ない中小制作会社の倒産や合併が増えていくことでしょう。
また大手でも企業存続のために大型の合併もあるかもしれません。
3-3:新しい生活様式に適応した中小が生き残る
それでは中小制作会社はどうすれば良いのでしょうか。
ヒントは新しい生活様式を経て変わった社会の習慣にうまく順応できるかだと思われます。
オンラインのイベントへの対応や、ソーシャルディスタンス対策など今までになかったアイデアを出した中小制作会社が強みを発揮していくことでしょう。
4:まとめ
イベント制作会社の過去、現在、未来について考察してきました。
まだまだ厳しい状況は続きそうですが、ここをチャンスに新しいビジネスの出現が出来ると良いですね。