ミクシィコミュニティが未だに使われている理由
「ミクシィ」というサービスの名前を耳にしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
現在の30代後半から40代の世代は学生の頃一番よく使っていたSNSツールの一つであり、使ったことはなくても「ミクシィ?そういえばそんなのありましたよね」という方も多いかと思います。
ミクシィを運営する株式会社ミクシィは、現在ではモンスターストライクをはじめとするゲームアプリを配信、運営する企業だと思われています。
現在SNSというとTwitterやInstagramなどその他サービスが圧倒的なユーザー数を誇りますが、ミクシィ自体は今も健在でしかも一定数のユーザーがいるということはご存知でしょうか?
今回は現在のミクシィの姿から、webサービスの未来について考えてみたいと思います。
1:ミクシィとは
まずは、そもそもミクシィについておさらいをしてみましょう。
2004年2月からサービスを開始したソーシャルネットワーキングサービス(SNS)です。
現在はTwitter、Instagramなど多くのSNSが存在していますが、当時はモバゲーとこのミクシィくらいしかなかったことを考えると日本におけるSNSのパイオニアと言っても良いでしょう。
当初は、既に入会しているユーザーからの招待制ではないと利用登録ができない、完全招待制でした。
基本的には一人1アカウントでしたが、それでも2008年には発行会員数が2000万人を超える規模となっています。
筆者もミクシィを使っていた世代でしたが、学生時代にまずミクシィに招待してもらおうと必死に友達にお願いしたことを覚えています。
完全招待制のため、ユーザーそれぞれの素性が明らかになり、より安心感のあるコミュニティを作るというイメージが当初はありました。
ちなみに現在は、招待ではなくなったので、誰もがミクシィアカウントを作ることができます。
ミクシィの特徴としては友達(マイミク)との交流はもちろん、コミュニティという名前の同じ趣味や関心ごとを持つ人たちが集まる掲示板のような場所があったことが挙げられます。
このコミュニティは誰でも作成することができて、参加条件や公開レベルなど細かく設定することができました。
またコミュニティの中にはスレッドと呼ばれるトークテーマのようなものがあり、更にコアな繋がりが作れるということも当時は斬新でした。
ネットで書き込みができるものといえば、2ch(にちゃんねる)ぐらいしかなかった当時、クローズのミクシィコミュニティは安心して自分の趣味の話などをネット上ですることができる唯一の場所だったと言っても過言ではないでしょう。
2:現在のミクシィ
一世を風靡したミクシィですが、TwitterなどほかのSNSが台頭して利用者が急減していきます。
現在はアカウントのみ残して、もう利用していないユーザーが大多数います。
ですがミクシィは完全に終わったSNSではありません。
ミクシィが行った利用者アンケートによると、現在も利用しているユーザーのうち、毎日利用している人は7割にのぼります。
たしかにユーザーの数は減りましたが、未だに使っているユーザーの間では、日々たくさんのコミュニケーションが行われています。
実際筆者もミクシィにログインしてみると、人気のコミュニティでは書き込みが数分前というものもありました。
なお、先程のアンケートによるとミクシィを利用している人の属性としては利用年数が「10年以上」のベテランが過半数の57.9%。約6割はミクシィが名を馳せていた時代からの継続ユーザーなんですね。
性別は、男性が52.2%と男性がやや多いものの、ほぼ同じパーセンテージでした。
気になる利用の仕方としては「友人の近況を見る」が70.6%と最多です。
このことから、友人同士のコミュニケーションツールとして使われている実態が読み取れますね。
3:ミクシィコミュニティが未だに使われている理由
それではなぜ今もミクシィのコミュニティはよく使われているのでしょうか。
それは、「SNSにありながらクローズ空間のような居心地の良さ」にあると思われます。
ミクシィは機能の中に日記やカレンダー、写真など個人的な内容をオープンにするカルチャーがありました。
またTwitterに相当する「つぶやき」の投稿も、すごく個人的な内容を伝えている人も多数いました。
そのことが逆に匿名なのに、知っている人であるかのような感覚を与えています。
コミュニティ内でのやり取りも、「会ったことはないけどどこか安心できる人間関係」というのが根強いファンが残る原因なのではないでしょうか。
4:ミクシィから見るネットサービスの未来
今回はミクシィが未だに使われている理由について考察してきました。
隆盛が激しいネットサービスの世界ですが、ミクシィのように良さを活かして一定のファンをつかむ戦略は多くのサービスで使えるのではないでしょうか。