ウイルスの弱毒化とは?その仕組みについて
なかなか収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症。
世界中で広がり、今も多くの地域で感染者が増加しています。いくら対策をしても収束しないと思われてしまいがちです。
しかし、ウイルスには毒性が弱まる弱毒化が存在します。
あまり聞きなれない言葉ですが、コロナウイルスの収束に向けて、希望が持てる仕組みです。
今回は、ウイルスの弱毒化と仕組みについて解説していきます。
仕組みを理解することで、現在の状況に少しでも希望が持てるでしょう。
1:ウイルスの弱毒化とは
強い毒性を持つウイルスは、人を死に至らしめることもあり、現在世界中で流行っているコロナウイルスが該当するしょう。
それほど強い毒性が弱まる現象をウイルスの弱毒化と呼びます。
毒性の弱まったウイルスは、人を死に至らすほどの毒性はほとんどありません。
人の命に係わるほど重篤な症状を引き起こすには、長い時間がかかるでしょう。
このようなウイルスの弱毒化が、新型コロナウイルスにも起きていると一部で報道されています。
2:ウイルスの弱毒化の仕組み
2-1:ウイルスが弱毒化する仕組み
毒性の強いウイルスは、感染者を短期間で死に至らしめるため、すぐ次の人に感染しなくてはなりません。
なぜなら感染者が亡くなると同時に、体内のウイルスも消滅するためです。
ウイルスにはいくつか系統があるため、亡くなった感染者の体内にあるウイルスの系統は、感染者の死亡と共に消滅します。
毒性の弱いウイルスは、症状が軽症である場合が多く、人を死に至らしめることはあまりありません。
感染者が亡くなることが少ないため、毒性の弱い系統のウイルスは、人から人へ感染し続けます。
このように、感染者を死に至らしめる力の弱いウイルスは長い間生き残り、逆に毒性の強いウイルスは、消滅していくという仕組みです。
毒性の強いウイルスは、途絶えやすいため、弱毒化へ進化する可能性が高いと言われています。
実際のケースでは、1~2年で弱毒化したウイルスも存在しているようです。
2-2:ウイルス弱毒化は絶対ではない
感染拡大を防ぐことで、ウイルスが弱毒化へ向かって進化する可能性を高めることができると期待されています。
しかし、ウイルスの進化は、絶対こうなると決まっていません。
偶然の要因も大きいため、必ず弱毒化するとは言えないでしょう。
それでも弱毒化する可能性があるのであれば、ウイルス対策をきちんとすることは重要です。
3:新型コロナウイルスが弱毒化している噂について
イギリスのザ・テレグラフ電子版6月20日で掲載された記事に、新型コロナウイルスが弱毒化しているのではないかという見解が掲載されています。
イタリアで新型コロナウイルスの治療に従事していた「サンマルティノ病院の感染症部門の医長マテオ・バセッティ教授」が、インタビューに答えた記事です。
マテオ・バセッティ教授の見解によると、当初は重症患者が多く呼吸器が必要なケースが多かったにも関わらず、現在では軽症患者が増えているとのこと。
また、イタリアの新型コロナウイルスに感染した高齢患者は、2~3日で死亡していましたが、現在の感染者は自分の力で呼吸できている人が多いようです。
このようにマテオ・バセッティ教授が実際の医療現場で体感したことを基に、新型コロナウイルスの弱毒化という見解を示しています。
しかし、現時点ではまだ感染者が増加し死者も出ていることから、弱毒化していると判断するのは早いでしょう。
あくまで新型コロナウイルス感染症に治療に最前線で従事してきた医師が、体感していることととらえる方が無難です。
4:まとめ
ウイルスの弱毒化は、仕組みが分かれば納得できる理論です。
毒性の強いウイルスは、他の人に感染する前に感染者の死亡と共に消滅していきます。
生き残れる道を探した結果が、ウイルスの弱毒化と言えるでしょう。
しかし、ウイルスには偶然の進化がつきもの。
さらに毒性が強くなってしまうケースもゼロではありません。
現在、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスにも当てはまります。
いつか弱毒化するはずと楽観的にとらえるのではなく、しっかり対策を講じることが重要です。
厚生労働省の感染症対策のガイドラインを見直し、正しい方法で感染を防ぐことが大切でしょう。
弱毒化するしないにかかわらず、感染予防することで感染拡大は抑えられます。
新型コロナウイルスの弱毒化については、医学的根拠が明確ではないため、注意が必要です。